PRP療法という選択肢
自然治癒力を活性化する
新しい治療法です
PRP療法は、自然治癒力を活性化する新しい治療法です。PRPは、多血小板血漿:Platelet-Rich Plasmaの略称です。
これは血小板を濃縮したものです。血小板は傷ついた場所に集まって血を固める働きがあります。その際に、多量の成長因子を放出します。この成長因子により組織の修復を早めたり、治りにくい組織の修復力を高めます。
この効果を利用して患部の疼痛の軽減や損傷した組織の修復を目的とする治療方法がPRP療法です。
ご自分の血液から作る多血小板血漿で治療を行うので、薬による副作用がありません。
関節炎や腱鞘炎など、慢性化した身体の部分に注射して治療しますので、手術による切開をせずに身体への負担も最低限に保ちながら治療が可能です。
アメリカでは、スポーツ選手を中心にケガの治療に使われており、日本のプロ選手(田中将大選手・大谷翔平選手)も採用したことで、近年日本でも注目されており、リハビリを半年以上行っても効果がなかった症状の治療にも効果が認められています。
笠間整形外科で提供するPRP療法は、日帰りでの治療が可能で、1回の治療で大きな効果を期待できます。
APS療法(次世代型高濃度PRP)とは?
当院では、次世代型高濃度PRPと呼ばれるAPS療法も行っております。
APS療法は、自己たんぱく質溶液(Autologous Protein Solution)の略で、従来の高白血球PRPを脱水、濃縮して抗炎症作用を増幅させた、次世代のPRPで強い消炎効果と長期間の持続効果が期待できる関節の痛みに特化した治療法です。
変形性関節症の関節の中では、炎症性サイトカイン(IL-1,TNFα)と呼ばれる悪性のたんぱく質によって炎症・軟骨破壊が進んでいます。
これに対し、人間の体の中には炎症を抑える良性のたんぱく質(IL-1ra,sIL-1R, sTNF-RⅠ, sTNF-RⅡ)もあります。この良いたんぱく質を患者さんご自身の血液から抽出して、PRP(多血小板血漿:Platelet-Rich Plasma)を分離し、有効な成分を高濃度抽出したものを関節内に注射します。
これにより悪いたんぱく質の働きを抑え、関節内の炎症バランスを整えることで、結果的に炎症や痛みを改善して、軟骨破壊を抑えることが期待できます。
GPSⅢと一般的なPRPの違い
一般的な「PRP療法」で使用されるPRP作製キットには様々な種類があり、精製されるPRPは各製品で濃度や内容が異なります。
病院ごとに扱うPRP作製キットは異なりますので、どのようなPRPなのかについて
患者さんについても若干の基礎知識が必要となります。
PRPの種類について大きく分けてしまえば、白血球が多い「Leuko -Rich」と、白血球が少ない「Leuko -Poor」に分けられます。白血球の量だけではなく、有効成分の濃度も異なるため、価格に差が出てきます。
効果の持続期間にも差があることで注射回数も変わり、1回ごとにかかる費用も異なります。
実際の治療でどちらのPRPを使うべきかは実際には議論されていることではありますが、笠間整形外科では前者の、白血球が多く、かつ有効成分の濃度が高く、投与回数が1回の「Leuko -Rich」を扱っています。
また、当院で扱っているキットは、厚生労働省で高度医療管理機器(クラスⅢ)製品として認可されているので、安全性への信頼は高いものとなります。
PRP療法を中心とした治療法のまとめ
笠間整形外科では多くの種類の疾患に対応しております。
PRP療法を中心とした治療を説明するために、特に膝の疾患に注目し、症状の重さと治療法についてまとめました。
いままでの
変形性関節症の治療について
いままでは、比較的症状が軽い場合は運動や薬物での保存療法を行い、症状が重い場合はヒアルロン酸の注射や人工関節などの手術をするというのが通常の治療でした。
手術をするほど変形は強くないが、ヒアルロン酸の注射では痛みが治まらない人や、手術をしたくない人は、痛みとつき合っていくしか方法がありませんでした。
関節の疾患では、その変形の進行度と症状の重さに合わせて治療法を選択します。軽症の場合は運動療法や湿布などの鎮痛剤の処方、ダイエットを勧める場合もあります。
中等度から重症の場合、ヒアルロン酸の注射による治療法が行われます。
重症な場合、人工関節置換術(TKA・UKA)等の手術が行われてきました。ヒアルロン酸注射と手術の中間に、効果が期待できる治療法としてPRP療法やAPS療法という新しい選択肢が加わりました。
当院では、PRP療法・APS療法は、病気の進行を抑え重症化を防ぎ、安全かつ身体に負担の少ない新しい治療の選択肢の一つとしてご提示しております。
PRP療法の適応疾患
- 変形性関節症
(膝・足関節など) - 靭帯(じんたい)損傷
(肘・膝・足関節など) - 上腕骨外側上顆炎
(テニス肘) - ひじの痛み
- ひざの痛み
- 肩の痛み
- アキレス腱炎
- スポーツ外傷
- 足底腱膜炎
- 肉離れ
- 肩腱板損傷
- 手関節TFCC損傷
一般的なPRP療法とその他の治療法の比較
治療法 | PRP療法 | ヒアルロン酸 |
---|---|---|
内容 | 関節内にPRPを投与して損傷した患部の痛みを抑制します。細胞組織を修復する効果が期待できます。 | 関節内にヒアルロン酸を注入することでクッションのような働きをし、痛みを抑制する効果が期待できます。 |
効果の期間 | 6~12ヶ月くらい | 6ヶ月くらい |
リスク | 注射をした部分が痛くなったり、腫れたり等の可能性があります。 | |
品質や安全性 | ご自身の血液から抽出するので患者さんにより異なります。 | 国から医薬品承認が下りているので品質は安定しています。 |
アレルギー | ご自身の血液から抽出するので極めて低い。 | アレルギーの反応については全くないとは言えないが安全性は高い。 |
APS療法と、GPSⅢ、一般的なPRP療法の比較
治療名 | APS療法 | PRP療法(GPSⅢ) | 一般的なPRP療法 |
---|---|---|---|
特徴 | 変形性関節症に特化した治療法。 | 自然治癒力を活性化する再生療法。 白血球が多い「Leuko -Rich」を使用。炎症反応を起こしやすく疼痛が強い反面、成長因子などの有効成分の濃度が濃い。 |
自然治癒力を活性化する再生療法。 白血球が少ない「Leuko -Poor」を使用。有効成分の濃度が低いため何回かの投与が必要。 |
投与する回数 | 1回 | 1回 | 3~4回 |
痛み抑制期間 | 12~24ヶ月 | 6ヶ月~12か月 | ~4ヶ月 |
炎症抑制成分量 (抗炎症サイトカイン) |
多い | 中くらい | 少ない |
成長因子量 | 多い※ | 中くらい | 少ない |
改善期待値 | 期待大 | 期待できる | 期待できる |
治療費 | 308,000円 | 筋・腱・靱帯の場合110,000円 関節の場合 154,000円 |
(当院では提供していません) |
※APSの成長因子量はGPSⅢの2倍程度と言われています。
※※当院では、APS・PRPはGPSⅢシステムを採用しております。(治療費はすべて税込)